育児と仕事のお役立ちコラム
2025年5月22日
産休・育休明けに待っていた『職場の違和感』——復帰後に感じたギャップとは?

産休・育休を経て職場に復帰するタイミングは、多くのワーキングマザーにとって大きな節目である。久しぶりの仕事復帰には期待もあるが、同時に「職場にうまく戻れるだろうか」「ブランクの影響はないか」といった不安もつきまとう。
復帰後、実際に職場で待っていたのは、「思った以上のギャップ」や「居心地の悪さ」だった、という声は少なくない。
まず多くの人が感じるのが、職場環境の変化だ。育休中に社内のメンバーが入れ替わったり、業務フローが見直されていたりと、自分が不在だった時間の中で職場は着実に動いている。復帰した当事者からすると、以前の感覚で戻ったはずが、どこか「自分だけが取り残されているような感覚」に陥ることもある。
また意外と見落とされがちなのが、「ファッション」にまつわる違和感である。育児中心の生活では、機能性や動きやすさを重視した服装が日常になる。一方でオフィスに戻ると、以前のように「きちんと感」を求められる場面も多くなる。ところが、その“オフィスの普通”も、復帰前とは変化していることがある。以前はジャケット着用が当然だった職場が、いつの間にかカジュアル寄りの雰囲気に変わっているなど、微細な変化が「居心地の悪さ」に繋がるケースもある。
こうした外見や空気感のズレに加え、本人の内面にも変化が生じている。育児を経験することで、仕事に対する優先順位や価値観が変化するのはごく自然なことだ。「限られた時間の中で効率的に働きたい」「子どもとの時間も大切にしたい」という思いは、多くの育休明けの社員が持つ感情である。しかし、職場によっては依然として“長時間働く=評価される”という価値観が根強く残っているところもあり、そのギャップがストレスとなる。
また、育休明けの社員に対して無意識のうちに「配慮してあげている」という空気が漂うこともある。上司や同僚の「大変だよね」「早く帰らなきゃいけないんでしょ?」といった言葉は、一見すると優しさのようでありながら、裏を返せば「戦力として完全には見ていない」という認識の表れでもある。こうした“無意識の温度差”が、職場復帰後の孤独感や違和感を助長する。
このような問題が積み重なると、やがて「この職場で自分はこの先も働き続けられるのか?」という根本的な問いに直面することになる。仕事と育児の両立を目指すうえで、職場の文化や働き方への理解が十分でない場合、社員自身が環境を見直すという判断に至ることもある。
実際、育休復帰後に転職を選択する女性は増えており、その多くは「もっと自分の価値観に合った働き方ができる場所を探したい」と語っている。転職活動においては、「勤務時間の柔軟性」や「子育て世代の在籍状況」だけでなく、「企業文化」や「ファッション・ドレスコード」などの職場の空気感も、重要なチェックポイントとなる。
たとえば、ある女性は復帰後の職場で“昔の自分に戻るよう”求められることに違和感を持ち、転職を決意した。新しい職場では、育児経験があることがむしろ歓迎され、フレックスタイムや在宅勤務といった柔軟な制度が実際に活用されていた。さらに、ファッションにおいても多様性が認められ、自分らしいスタイルで働くことができるようになったという。
産休・育休明けの「職場の違和感」は、本人の変化と、職場の変化のズレから生まれるものだ。それを「仕方ない」と受け入れるか、「違和感の正体は何か」と掘り下げるかによって、その後のキャリアは大きく変わる。
だからこそ、復帰後のギャップに悩んでいる人は、一度立ち止まって考える時間を持ってほしい。「今の職場で、自分は自分らしく働けているか」「変化した自分を受け入れてくれる環境か」と問い直してみることが、自分に合った働き方への第一歩となる。
そして、もし新しい職場を探すことを選ぶなら、今度は同じような問題に直面しないように、企業の働き方や文化を慎重に見極めることが重要だ。自分の価値観にフィットする職場であれば、育児と仕事の両立も、より自然で前向きなものになるだろう。